FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top


コーネル1

 ランボー 戸棚

  これは彫物(ほりもの)のある大きい食器戸棚
  古き代の佳い趣味(あぢ)あつめてほのかな檞材。
  食器戸棚は開かれてけはひの中に浸つてゐる、
  古酒の波、心惹くかをりのやうに。

  満ちてゐるのは、ぼろぼろの古物(こぶつ)、
  黄ばんでプンとする下着類だの小切布(こぎれ)だの、
  女物あり子供物、さては萎んだレースだの、
  禿鷹の模様の描(か)かれた祖母(ばあさん)の肩掛もある。

  探せば出ても来るだらう恋の形見や、白いのや
  金褐色の髪の束(たば)、肖顔(にがほ)や枯れた花々や
  それのかをりは果物(くだもの)のかをりによくは混じります。

  おゝいと古い食器戸棚よ、おまへは知つてる沢山の話!
  おまへはそれを話したい、おまへはそれをささやくか
  徐かにも、その黒い大きい扉が開く時。

          (講談社文芸文庫「中原中也全訳詩集」より)
古ぼけたもの
子どもが隠れるほどの大きな古時計、動かないお父さんの腕時計
ギシギシ音をたてる古びた戸棚、すり減った小学校の椅子や机
むかしむかしのガラス瓶や陶器の花瓶、ずっしり重い鉄の水差し
鉛がいっぱいのガラスコップ、透明で気泡いっぱいのゼリー入れ
空気に馴染んだ磁器や陶器のお茶碗、ペンキが剥げた鉛筆削り
色あせた絵本、教科書の表紙の優しい絵、さびついた磁石
理科室にあった天球儀、部品の欠けた人体模型、
衣装を失くした西洋人形、青い目のセルロイド人形
ところどころ欠けた石膏像、おじいちゃんのべっこうメガネ
ガラス製のおはじきや緑のラムネ玉、大きく分厚い虫眼鏡
手に馴染む顕微鏡や望遠鏡、万華鏡、そして幻燈機
プレパラートに浮かぶ虫たち、ひび割れた水晶球
アルマイトのシガレットケース、透明瓶のアルコールランプ
蝶々や鉱物や貝殻の標本箱、惑星模型、謎めいたビロードの箱
セピア色の家族写真、銀幕のスターのプロマイド
たくさん旅をしてきただろう革製の旅行かばん
黒い帽子やフロックコート、漆黒の西洋スティッキ
エキゾチックな西洋マッチのイラスト、チョコレットの銀色ケース
ブリキ製やトタン製の玩具、ジオラマ模型、銀玉鉄砲
凹んだポンポン船や潜水艦、ピカピカ光るロボットたち
なにげない金属のバケツ、宝物を入れるブラックボックス……。

街を歩いて、小さな隅っこ、ひんやりした空気がながれていそうな古道具屋さんを見つける。おっかなびっくり、そっと扉を開けてみる。
人の気配のなさそうな、ほんの十数秒、じっと佇んでいるとカラダも気持もすーっと落ち着いて、思わず地上からほんの少し浮き上がったような気分にさせる古道具屋さんに出会った時の、なんとも言えない愉しさ。

古ぼけたものに何故魅力を感じてしまうのでしょうか。
褪せる、錆びる、濁る、侘びる、すえる、剥げる、それらは皆、時の流れが施した物質感覚を備えています。
時間が物質化したもの、物が時間によって変貌したことのしるし。
文学におけるノスタルジックな世界は想像によって喚起されますが、古道具や古着や古ぼけた玩具たちは、それ自体が時間の衣裳、時の物語をまとっているのでしょう。

ランボーの詩はたしか16歳の作品。私はこの詩や「わが放浪」、あの「破れたポッケにげんこつをつっこみ、僕は出かけていったのさ」なんかの初期詩篇が大好きだった。
不良少年というにはあまりにも繊細で知的な少年は、信仰という鎧にひたすら身を固めた母の、絶対的な秩序からの逃亡を何度も試みるのです、もう切ないほど。

コーネル4
コーネル3
コーネル2
コーネル500
コーネル6
※画像はすべてジョセフ・コーネルの作品です。ちゃんとその魅力を話したいと思っていたけれど彼の作品は観た瞬間、驚きと懐かしさに出会えます。文章は必要ないですね。
http://www.pem.org/cornell/#
画像をクリックすると楽しいです、ぜひ。

Teshima Daisuke Trio "Anniversary Song"
2013.08.15 Thu l 画家のお話 l コメント (0) トラックバック (0) l top


コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://kuroko0922.blog54.fc2.com/tb.php/586-c7fa1955
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。